2015年10月18日

あるドイツ人の戦後(下)

(この記事は「あるドイツ人の戦後(上)」からの続きです。)

――ご両親とはどういうことを議論なさったんですか?

H:僕が知りたかったのは、父がどういう役割を演じたのか、彼はどういうふうにそれに参加したのか、どの程度ナチスの体制を理解していたのか、でした。それに対する彼の答から僕はある程度知ることが出来ました。父とはそういう話がまだ出来たんです。でも、母は一切聞きたくないと言い、「ばかなことばっかり言わないで。社会主義者のふりなんてしないで」と言うばかりで、完全に僕とは反対の立場に立った。

父はとにかく僕に答えようとしてくれ、兵士の役割というもの、兵士の道徳というものについて、将校の道徳というものについて語り、政治的な話はしたことがありませんでした。それが先ほどお話ししたようなことだったのです。

当時のドイツにおいて、社会的には完全に、公的にそういった議論がなされることはありませんでした。その動きが起こったのは68年のことです。その年はドイツも含め、世界的に大きな変動が起きたのです。

それはまず、新しい世代が台頭した年でした。それは実際には45年生まれの僕の世代だったわけですが、それは戦後最初に生まれた世代です。僕たちはそれまでとは違う世代であり、ある意味では戦争の結果による苦しみを大きく受けた最初の世代でもありました。


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あるドイツ人の戦後(上)

(この記事は、2005年6月23日にメールマガジン「Japan Mail Media」の連載「大陸の風−現地メディアに見る中国社会」第48号として配信されたものです。その後、Yahoo!個人ニュースのページにも転載したのですが、アカウント終了とともにページごと消されてしまったので、ここに再掲します。)

今回はかなり番外的な内容だが、北京にあるヨーロッパ系企業の駐在員として派遣されているドイツ人に話を聞いた記録である。

彼、ハンス氏は各国駐在員の中でもかなり年長の方に入るだろう。すでに本国にお孫さんもおり、本来なら悠悠自適の退職生活に入っているはずの世代である。その彼がちょっと健康に不安のある奥さんを本国において、言葉も通じない北京で単身赴任生活を送っているのは、「まだ働ける。まだ廃物にはなりたくない」からなのだそうである。

北京は体制的にも社会的にも習慣的にもまだまだ外国人に開かれた街というには程遠い。英語は堪能でも中国語が出来なければ生活の苦労は倍増、いや倍々増するはずなのだが、ハンスはなにやらここが気に入っているらしく、北京生活をもう2、3年続けるつもりなのだと言う。

彼とはジャズのライブハウスで知り合った。わたしの初めてのドイツ人の友人である。二人の間で政治の話をすることは全くなかったのだが、わたしよりもずっと長く世界の歴史に付き合ってきた彼に、戦後のドイツについて尋ねる機会を持ちたいと思っていた。

以下、ヨーロッパの文化と歴史に疎い日本人が聞いた、ドイツの戦後を生きてきたあるドイツ人の軌跡として読んでいただければ幸いである。


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2010年06月23日

聖なるものと恐ろしきもの

この半年ほど、わたしの身の回りに起こったこと。

1) 
今年旧暦正月の直後、台湾で暮らす、わたしの香港時代の友人BeCから「友人NicとSteの夫婦が北京に移り住むから、面倒見てやって〜。近く雲南に遊びに行くと言っていたから、Rixの奥さんのLuJって雲南出身でしょ? だから彼ら夫婦にも紹介してあげて」と指令が来た。

実は台湾人夫婦のご主人Nicはある雑誌のチーフエグゼクティブとしてすでに北京に単身赴任して3年だという。BeCとSteは、BeCが香港から台湾に嫁いで、台北で勤めた広告代理店での同僚らしい。このたび、Steも小学生のお嬢さんZoEを連れて北京で暮らすことになったのだが、このZoEと、BeCの息子が半年違い、さらに名前も一字だけ違うそうで、台湾ではこれまたおんなじ学校に通っていたので、周囲の人たちの多くが彼らのことを従兄妹か何かだと思っていた、というこぼれ話もきいた。とにかく住んでいるところも近いので、親戚のように育ったのは間違いないという。

そして、タイミングが悪く、Nicが出張中にSteと、RixとLuJの夫婦、ついでに北京に駐在している台湾メディアのAmaも呼んで会食と相成った。そこでちょろちょろと話していると…


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2009年05月23日

んもー

昨日配信の春具さんのJMMレポート「続・海賊物語」、もう読まれました?

……んも〜、春さん、最高!

JMM配信を受けていない方は来週火曜日以降、こちらでどうぞ。

posted by wanzee at 13:52 | Comment(4) | TrackBack(0) | JMM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月06日

ケニアからの緊急レポート&アピール

先日、わたしも書いているJMMで「ケニアからの緊急レポート&アピールが配信された。ケニアなんて中華大陸からはとっても遠い存在なんだけど、読んでいてどうしようもないほど「人vs自然」「人vs動物」を感じた。こういう「vs」になっちゃうこと自体が問題だ、という気がした。これは中国における環境、および人々の生存空間にも通じる点である。

ということで、JMM編集部の了承のもと、以下そのレポートをここに転載する。ご興味のある方、なにかやれるかしらという方、どしどしウェブサイトのぞいてみてください。なお、この滝田さんからのレポートは今後、JMMの日曜日版で不定期連載されるそうなので、お楽しみに。

                              2008年2月3日発行
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JMM [Japan Mail Media]                  No.464 Extra-Edition
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                      http://ryumurakami.jmm.co.jp/
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▼INDEX▼

 ■ ケニアからの緊急レポート&アピール
 ■ 編集長から
 ■ 滝田明日香 :家畜獣医(ケニア在住)

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■ 編集長から
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 ケニアでは内乱状態が続いています。坂本龍一らが運営していて、わたしもメンバ
ーであるAP(Artists' Power)の、滝田明日香さんからのレポート&アピールを紹
介します。

 マサイマラ国立公園は、わたしも31年前に新婚旅行で訪れました。言葉では表現
できない美しい場所で、キリマンジャロと動物たちの夢を、今でもよく見ます。滝田
さんのアピールに多くの方に賛同していただきたいと思います。

                                  村上龍

●AP(Artists' Power) <http://www.artistspower.com/index2.html>

......ケニアからの緊急レポート&アピール全文へ
posted by wanzee at 13:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | JMM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月23日

祝・村上龍JMM編集長のCCTV出演

来月はインタビュー仕事ラッシュの予定。
今のところ、予定は5件、連絡がスムーズにいけばもっと増えるかも。
リストに上がっている名前はどなたもわたしが非常に興味を抱いている方なので、
インタビューできるのは楽しみなんだけど、
さすがに全部きちんとやれるのか、ちょっと不安っす。

ところで、その準備のために資料探しを始めてます。
とはいえ、まだ「3月超大忙しマンス」は後を引いていて、
さらに「大忙しマンス」のおかげでワリを食っていた某パートナーからも、
このところちょろちょろと「要請」が入り始め、
さすがにそれまでばっくれたら、今度はこっちが見捨てられることは見えているので、
それをどうにか隙間に納めてこなしつつ、
そして、ぼー大な各方面の資料探しに入っているわけ。

正直なところ、ちょっと、げろ、状態。

......もっとごろごろ
posted by wanzee at 10:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | JMM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月03日

春具さん


突然ですが、わたしはJMMに隔週で寄稿なさっている春具さんのレポートが大好き。
自分がJMMに寄稿するようになるまでは、
隔週金曜日の春具さんの「オランダ・ハーグより」と
毎週土曜日の冷泉彰彦さんの「USAレポート」を見るためだけにJMMに登録していた、
と言っても過言ではないっす。
ほんでもって自分が隔週木曜日に寄稿するようになって、
春具さんのレポートと同じ週の木、金と続くことすらなんだかうれしいというか、誇らしいというか、
そういう単純な喜びに浸っているのである。
……ここでまたそれを考えるだけでウレシくなってしまった。

その後、JMMの寄稿者はますます増えて、ほぼアフリカと南極大陸以外はカバーし、
あ、南米もまだだな、ということは、ちょっと南半球に弱いといえるかもしれませんが、
それでもレバノンとかデンマークとか、書き手の特色が出ていて、
逆に読者にとって好きな寄稿者は徹底的に好き、
嫌いな寄稿者は徹底的に嫌い、という構図にもなっているんではないだろうか。

......もっとごろごろ
posted by wanzee at 13:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | JMM | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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