実は北京に来てからずっと映画はだいたい海賊版DVDを買って家で見ていた。「海賊版」と聞いてお怒りになる方もいらっしゃるだろう。うむ、そのお怒りはごもっとも。あなたの周囲にいろんな映画館があって、ちょっと足を延ばせば現在過去未来(?)のいろんな正規版DVDが、それなりに納得できる価格で売られている店があるのなら。
約10年前(正確には8年とちょっと前だけど)、わたしが北京にやって来た時、北京の映画館では国産の、なんだか堅苦しい、小津安二郎映画を情感もなく形だけ真似して、それでいて「ハイ、ここで笑ってください」みたいな、自分も監督の脚本に組み込まれているような国産映画か、あるいは「ハリウッドの娯楽超大作!」と銘打った、どかんどかん、ばたばた、きゃあきゃあみたいな音声の映画くらいしかかかっていなかった。
その上、その映画館といえば、映写機があって、スクリーンがあって、客席があればいいだろう? つべこべ言うな!的なお粗末なところばかりで、できれば映画が終わっても場内照明つけないでください、足元に何があるのか見たくない、的なところがほとんどだった。見ている間中、トイレの消臭剤をかがされ続けたこともあった(消臭剤がなんであんなに臭いんだっ?!!!)。それも田舎ではない、東単という「北京の銀座」王府井の隣街にある映画館で、である。
......もっとごろごろ