2015年10月05日

Shanghaiist:「日本は我われ中国庶民に感謝しろ」

●Shanghaiist.com :"Chinese shopper in Tokyo says the Japanese should thank China for spending so much"


「金を使ってやってるんだから、日本は我われ中国庶民に感謝しろ」


こういう言われ方をされるとイラッとしますね。ただ、このビデオ(香港のリベラル紙『明報』のものみたいですが)は、複数の中国人訪日客の中からそういう物言いをした人をわざわざ集めたのだろうな、という気はします。


でも、日本観光ブームを伝える中国メディアにもそういうムードのタイトルがよく踊ります。


「中国人が日本を“侵略”する」

「中国人が日本を“占領”する」

「中国人が日本を“征服”する」


イライライラッ!!!!


こういう言葉が並ぶ背景にはもちろん、「してやった」という気持ちがある。そしてそれをメディアが自国民に自国語で吹聴する(これは日本のメディアもよくやる。“他者”が簡単には入ってこれない「聖域」であることに慣れきっているためでしょう。ただ、意外に日本よりも中国のほうが「語学を学んだ外国人に読まれる」ことを意識した紙面作りをしてます。)


こうした「読むものがその人物を作る」的な影響だけではなく、中国社会が日本に比べて「侵略」「征服」「占領」と言った言葉に「慣れ親しんで」いることもあります。




日本人が中国を旅するとぎょっとするシーンに、堂々と軍人が制服制帽で個人として旅をしていたり、街を歩いてること。地方に行けばいくほど顕著です。これは中国において軍人はどんなレベルの低い位置にあっても、長い間社会的なステータスだったから、羨ましがられる存在だったからです。


一方で、あまり公私が分けられることがなかった長い社会主義生活で制服と私服の区別が長い間ついていないという、独特の慣習もあります。「見せびらかしたい」という思いと、人前では見栄えの良い服を着たい(万里の長城にハイヒールを履いてくる観光客の女性とか…(^_^;))という思いが一緒になった光景です。これもやっぱり田舎に多いし、都会では「田舎もんだなぁ」という目で見られます。


日本は戦後、軍隊、軍事に関わる言葉や物事を一切記憶から封鎖した。少なくとも自身の生活とは関係のないものとして暮らそうとしてきた。その結果、現在の日本人の生活習慣にはこうした「軍隊」とかかわるすべてのものが「タブー」になってしまった。そして、たかが観光客に「征服」だの「占領」だの言われると、ますますイラッとしてしまう。


ただ一方で、そんな中国ではまだまだ言葉の表現力は豊かではない人が非常に多いのも事実です。メディアに踊る言葉に操られ、自身が聞き慣れた言葉をそのまま真似るように「占領」「征服」と使っているだけの人も多い。きちんと自分でモノを考える中国人ならもっと言いようがあるはずですが、こうした物言いを日本人が聞くと日本人独特のタブーに触れてますます怒りが増幅してしまう。


ここで紹介されているような押し付けがまし「感謝しろ」という言い方は、中国社会の縮図でもあります。


長年、中国では金持ちは庶民を虐げ、西洋諸国は帝国主義で虎視眈々と弱国いじめのチャンスを狙う悪者とされてきた。共産党はそんな庶民を、中国を救ったのだ、という物言いがずっとなされてきた。決して日頃は共産党を賛美しているわけでもない人ですら、その金持ちに自分がなれた、お前らはもうおれらを虐めることはできない、お金がほしいんだろ、ほら感謝しろ、と感じる。これは中国で都会の人たちが田舎の人たちに、あるいはレストランで客がウェイトレスに、さらには建築現場で働く民工に見せる態度と全く同じ論理です。


ですが、よく見ると日本のメディアも結局、「中国人観光客が○○億落としてくれた」みたいなことだけをタイトルにあげて、中国人観光客受け入れの「正義」にしてしまってますよね。つまり、金さえ落としてくれれば、という態度が見え見え。


結局はどっちもどっち。お金を軸にした関係なんだから、ガツガツいうなよ、という気分になりました。


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