2013年10月24日

震災と他者の無理解を言い訳にするのは止めないか?

【朝日新聞デジタル】「明治、中国の粉ミルク販売撤退 震災などで売上低迷」

これひどい記事だ。

明治は震災後に国内で放射性物質混入で回収騒ぎを起こしている。これが中国(含む香港)の消費者の心象に大きな影響を与えた。

さらに日本製ミルクはもともとヨウ素を含まないフォーミュラになっていることから、乳児用ミルクにヨウ素を含むことを定めた香港の衛生基準に合わず、香港で中止された。それが、中国国産ミルクの安全不安から香港にミルク源を求める中国国内消費者にも伝わり、中国国内でも需要が減少(この辺についてはNewsweek Japan に詳しく書いた)。

だが、明治の中国現地支店は上記2つに対してどんな対策を取ったのだろう? 背景を知るわたしが「明治の中国からの粉ミルク販売撤退」で一番知りたい点だ。だが、この記事にはその対策どころか、そういった背景があったことにもヒトコトも触れていない。

そして簡単に震災を口実に使っている。



記者はきちんと裏をとったのか? 明治側の言い分以外に自分たちが事実をきちんと伝えるための努力をしたのか? わたしがここにあげた事情は日本メディアも報道している。この朝日の記者たちはそれをきちんと紐解いたのか? 

わずか2年前のことだよ?

これを報道といえるのか? こんな報道をして読者から金が取れるのか?


10月25日追記:

中国メディアからも「明治撤退」の記事が出ていました。ですが、明治を含む日本ブランドの市場はかなり想像と違うようです。以下に抜粋翻訳して掲載しています。ご興味のある方はご一読ください。
【万華鏡日誌】明治粉ミルク、中国での販売を一時停止(131025):http://bylines.news.yahoo.co.jp/furumaiyoshiko/20131025-00029230/

posted by wanzee at 16:49 | Comment(5) | TrackBack(0) | ニュース記事から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
子供が中国で明治の粉ミルクにお世話になったひとりとして意見を残します。

まず朝日記事で伝えているのは個人が輸入するような並行輸入品ではなくて、明治が正規のルートを通して大陸に販売している製品の販売を中止するというものです。この2つはそもそも別のものですが、それをごっちゃにして語っているのでわけがわかりません。
正規ルートの製品については日本国内製品とは違いオーストラリア制であると記事にもちゃんと書いてあります。またオーストラリア製なのですから本来は震災の影響もないわけで、これも対策をとっていたといえるのではないでしょうか。

また製造地が違うというだけでなく中国向けと日本国内のものとではそもそも成分が違っています。そこをまた事実誤認。ちゃんと中国向けに作ってあり、これは以前に自分で明治のカスタマーサービスに連絡をとって確認しました。香港ではどうなのかは知りません。

さらに付け加えれば個人が勝手に日本で仕入れて販売する並行輸入を明治がコントロールできるわけがないですよね。その事実を無視してこのような文章を書いていることこそ問題ではないかと。そもそもこういう不正確な噂、評判で明治の売り上げが落ちていたわけですから。
明治にそういった風評被害を覆すまでの力がなかったといえばそれまでですが、そういう問題でもないでしょう。そもそもこの文章からはそこまで明治の事を思っているとは到底思えません。上記文章では世間での反応は拾っていますが、その実態が本当はどうだったのかという点についてはまったく入っていっていません。

これは明治を批判する内容なのではなく、朝日の記者が適当な記事を書いたことを批判したいと言いたいのでしょう。
書いてあるべきことが書いてない記事なんてしょっちゅうです。それが頭にきているのであれば他人を批判するのではなくむしろご自身で調べて記事にされてはいかがかと。

我家は明治の粉ミルクにお世話になりましたし、その空き缶のひとつを今でも残しています。
この文章は不正確であるだけでなく単に明治をネタにして朝日をdisりたいだけの内容にしか見えないのでとても不愉快です。
Posted by max at 2013年10月24日 22:43
maxさん、仰るとおり、わたしは記事の書き方を問題にしています。

この記事からは明治側が具体的にどういう説明をしたのかの境界線はわかりません。

あなたが仰るとおり、明治側には明治側の言い分があるのでしょう。ですが、明治が「中国の粉ミルク市場から撤退する」ことは事実なのです。そして、その「撤退」は「売れなかった」から、です。

あなたが言うように「正規のルート」で「オーストラリア製のミルク」を輸入していたのに「売れなかった」のであれば、ますます記事に書かれているような「震災」理由は関係ありませんよね? でも朝日の記事は「震災」を理由にしている。おかしいと思いませんか?

香港から持ち込まれるミルクと、中国国内での取られ方の関係は文中にもリンクを付けたNewsweekの原稿でわたしはきちんと説明していますので、これ以上「調べて」は必要ないと考えます。

さらに、どこかの新聞が「書いてあるべきことが書いてない記事なんてしょっちゅう」なのことを受け入れているあなたが、件の記事を「書くべきことを書いていない」と批判しているわたしに対して、「調べて書け」とおっしゃる意味がわかりません。あなたは「書くべきことを書いていない記事」をゆるしておられるではありませんか?

あなたのお子さんが中国で、明治ミルクのおかげになった、ならばあなたは他の子どもを持つ親たちが中国のミルクへの不安に震えることなく、明治のミルクのお世話になれればいいな、とは考えないのでしょうか? そのために明治にはもっともっと「正規のルートで輸入された」「オーストラリア製の」「安全なミルクであること」を伝えるように、宣伝するように、求めるのが筋ではないですか?

それを十分に伝えられなかった明治、そしてその結果撤退する理由を「日本国内の」「震災」のせいにしてしまうメディアあるいは明治という企業に対してあなたは怒るべきだと思うのですが。

あなたのほうがなにか勘違いなさっておられると思います。冷静になって考えてみられることをオススメします。



Posted by ふるまいよしこ at 2013年10月24日 23:50
maxさん、今一度読みなおしてみて、あなたが抱えている疑問にお答えしていないことに気づきました。再度お読みになるかどうかわかりませんが、念のためここに書き込んでおきます。

あなたには「個人が輸入するような並行輸入品」をなぜわたしがここで持ち出すのか、ということがひっかかっているのですね。Newsweekで書いた記事は「香港から持ち込まれるミルク事情」についてのお話で、あなたがおっしゃるような「個人が勝手に日本で仕入れて販売する並行輸入」の話ではないことを前提に、以下お読みください。

中国には乳児用粉ミルクに対する衛生基準はもちろんあるのですが、それが守られていないこと、そしてそれ自体を信用出来ないと中国人消費者が思っていることはすでに周知のことですね。そのために、中国の人たちはできるなら中国以外の場所で粉ミルクを手に入れようとしています。

あなたが触れている「個人が勝手に日本で仕入れて販売する並行輸入」もその手段の一つですが、香港で購入して中国に持ち込まれる粉ミルクもかなりの割合で出回っています。

すると、自然にその香港で売られている外国ブランドの粉ミルクが中国国内に持ち込まれ認知されるブランドになるわけです。そして自国内に適用されている粉ミルク関連の法規が信用出来ないだけに、香港の法規への関心や信頼感は高くなる。

その香港で「日本産の粉ミルクはヨウ素が含まれていない」ことを理由に販売が禁止されたことは、「危険な粉ミルク」に敏感になっている中国人消費者にもそのまま受けいれられました。

彼らはmaxさんと違って日本人ではないし、「日本製品が絶対よい」と思っているわけではない。ただ、中国産の危険なミルクではなくて海外の安全なミルクを手に入れたいと思っているだけなのです。なので、「香港で発売禁止された」製品のことをいちいち熱心にメーカーに問い合わせるようなことは当然しません。

もちろん、「ヨウ素を含まない」日本の粉ミルクは日本では違法でもなんでもありません。調べればわかりますが、日本人は海藻を一般の食事でよく取るのでヨウ素を食品に混ぜるように命ずる食品基準はないそうです。ですが、外国の場合すべての国が同じ食習慣でないために、香港のようにヨウ素を含むことを義務付けている条例もあります。

話はずれますが、同様に中国で売られている塩もヨウ素が混入されたものがたくさんあります。それもヨウ素不足の食事習慣が原因です。中国や香港だけではなく、イギリスなど欧米でもヨウ素入り食品が普通に売られています。

その結果、日本製の粉ミルクは香港で発売禁止になった。すると当然香港では流通しなくなります。「発売禁止」という情報とともに香港では手に入れることができなくなった日本ブランドの粉ミルクは自然に、そうした「海外で手に入れた粉ミルク」を求める人たちの意識から遠ざかります。いえ、「禁止」の言葉ははっきりと記憶され、放射能漏れとともに日本ブランドのイメージに刻みつけた人も少なくないはずです。

それは当然、中国国内に伝染します。

maxさんが言うように、明治側は並行輸入品の管理はできませんし、責任も負っていません。ですが彼らが責任を負えないだけに「香港で禁止された」という情報だけが流れ、自然に中国国内で売られている「明治」ブランドはそれがオーストラリア産であろうとも忌避されるという結果を生んでいるわけです。

ウワサだけで物事を間違った形で信じる人は、日本にも中国にもたくさんいます。みながあなたのように「日本ブランド」を求めているわけではないし、問い合わせをしてメーカーに話を聞く手段を持っているわけではない。その場合は、隣の店に並ぶ他のブランドを選ぶのは自然なことではないでしょうか? その結果、明治の国内販売品への影響は避けられなかったはずです。

さらに現実には、中国市場での明治の粉ミルク販売状況はくだんの朝日の記事とはちょっと違うようです。その点についてはYahoo!のページでご紹介しています。もし現実を知りたいと思われるのであれば、ご一読ください。

【万華鏡日誌】明治粉ミルク、中国での販売を一時停止(131025):http://bylines.news.yahoo.co.jp/furumaiyoshiko/20131025-00029230/

Posted by ふるまいよしこ at 2013年10月25日 17:25
もちろん経営上の問題があるはず、ここでmaxさんが言いたいのは「これは明治を批判する内容なのではなく、朝日の記者が適当な記事を書いたことを批判したいと言いたいのでしょう」との一言でしょうね。これについて全くノーコメント。
Posted by Rooney at 2013年10月26日 13:07
Rooneyさん、

ん? わたしのmaxさんへのリプライをもう一度最初からきちんと読みなおしてくださいませ。

Posted by ふるまいよしこ at 2013年10月26日 21:23
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